2003/01/15_敗北の日

eldred satire by Andrew Baio

原告側弁護人ローレンス・レッシグのBlog: 
深い悲しみとともに。

最高裁はソニー・ボノ著作権期間延長法に対するわれわれの訴えを退けた。

posted on [ Jan 16 03 at 12:09 AM ] to [ bad law ]

AP:米連邦最高裁、ミッキーマウスなどの著作権保護期間延長は合憲と判断
 予想されていたとはいえ、7-2で下された判決はインターネット出版者など、古い書籍やミッキーマウスの古い漫画などを高額の使用料を支払わずに利用しようとするものにとっての打撃となった。

Slashdot.org:Disney Wins, Eldred (and everyone else) Loses
寄せられた1292のコメントから。
ありがとう (スコア:5,参考になる)
by EricEldred (175470) on 03-01-15 13:56 (#5088791)

 われわれ原告はこの長く続いた取組みを支援してくれた全ての人に深く感謝する。当然ながら、判決には失望している。

 特に主席弁護人であるラリー・レッシグと、Kathleen Sullivan, Jonathan Zittrain, William Fisher, Charles Fried, Charles Nesson, Geoffrey Stewart, Edward Leeの各弁護士、またJones, Day, Reavis, Pogueの各法律事務所の、この訴訟に疲れを知らずに取り組んでくれた全ての人々に感謝を。また、エルドレッド弁護基金に協力してこれら全てを可能にしてくれた人々にも。

 次の取り組みは?この判決が著作権の期間を永遠に延長し続ける許可を議会に与えたからには、これから20年の間にまた次の延長に向けた動きがあるだろう。これに対しては政治的に対抗することができる。また、電子機器へのDRMシステムの組込みを義務づけようとする巨大メディア企業の動きや、それらの法案にも対抗してゆくことができる。
 また、日本、台湾、欧州などの国々で、著作権の期間を現在の作者の死後50年から延長しようとする動きが起こるだろう。特に音楽と映画の分野で。われわれはそれに反対する運動に協力することもできる。

 われわれの訴えは、憲法の起草者たちが描いた著作権こそ、インターネット時代における創造性とイノベーションの適切な基盤であるという考えに基づいたものだった。いまや著作権は逆に作品を封じ込めるために利用されている。もしそれらの作品にアクセスする手段が違法なものしかなければ、それに走るものも出てくるだろう。多くにとって、Freenetのようなピアツーピアネットワークだけが代替手段となるだろう。

 ひとつのページが過ぎ去ったが、努力にはそれだけの価値があった。議論の水準は高まり、人々にはより多くの情報が伝えられるようになった。これから為される決定はよりよいものになることを期待しよう。

ZDNN.jp:米最高裁、議会による著作権期限延長を容認
多数意見の中でRuth Bader Ginsburg判事は「米国議会が取った行為は裁量の範囲内であり、憲法で定められた権限を越えたものではない。この命令による議会の決定と政策判断がいかに論議を呼ぶものとなり、あるいは明らかに愚かしいものとなろうとも、われわれにはこれに口を出す権限はない」と述べている。

アメリカ映画協会(MPAA)会長ジャック・ヴァレンティ声明
 著作権の期間設定について議会が持つ絶対の権威を法廷が再確認したことに我々は満足している。 我々が常に主張してきたように、また永く一般に認知されてきたように、作品の創造と保存に対するインセンティブを提供することを目的とした著作権法は、社会全体の利益となっている。それゆえに、この判決は権利保有者にとってだけでなく、あらゆる消費者にとっての勝利だ。

National Writers Union声明
 全米作家組合は原告エルドレッド側を支持するクリエーターたちを代表する組織となったことを誇りに思う。意見書に述べたように、我々がこの立場をとる理由は、"著作権保護と情報へのアクセスとの健全なバランス"を支持するゆえである。

 われわれは二つの理由からこの立場を選択する。第一に、著作権の不合理な延長は社会全体にも、また新たな作品へのインスピレーションを得るため著作物へのアクセスを必要とする作者個人にも利益をもたらさないと考える。また、著作権の相続者にとって、本来の作者の生涯に加えて50年間の利益は十分なものであると確信する。

 第二に、不合理な著作権の延長によって真に利益を得るのは個々の作者ではなく大企業である。本来の作者の死後70年間への延長によって利益を得る相続者は少数に過ぎない。議会は著作権の真の問題点に取り組んでいない。クリエーター個々人を保護するという憲法の起草者たちの本来の意図に反し、著作権はますます企業の所有物となりつつある。創作者たちは権利を永久に放棄する契約を強制させられ、あるいは巨大メディア企業により作品を単に盗まれている。議会と法廷がこの傾向に取り組むまで、著作権はメディア企業とその経営者たちの利益の為の道具であり、芸術と科学の発展のための道具とはなりえないだろう。

米下院司法委員会長Sensenbrenner議員声明
 著作権延長法を可決する憲法上の権限を議会がもつことを法廷が認めたことに満足している。著作権延長法は作家、音楽家や他のアーティストに作品を創造し広めるより多くのインセンティブを提供し、究極的にアメリカ国民全体の利益となる。合衆国は世界のどの国よりも多くの知的財産を生み出している。著作権と関連産業はアメリカ国民に数百万の雇用をもたらし、その活力は国家経済に決定的な役割を果たしている。法廷の下した判断は、アメリカの著作権保有者が国内および国外で更なる収益を上げることを保証するものだ。

ダン・ギルモア:著作権の名で盗みを奨励する議会@siliconvalley.com
 レコード屋からCDを盗めば逮捕される。では、娯楽産業があなたから盗むのを議会が承認したときは?--まあ、それがアメリカ流というものだ。

[...]
 奪われたのは?あなた、そして私だ。
 奪い取ったのは?どこまでも強欲なメディア産業の大物たちはとうの昔にパプリック・ドメインに入っていたはずの作品から莫大な利益を上げるだろう。

 公有地や公海のように、パプリック・ドメインは誰にもコントロールされない--個人や企業によって所有されていない限り何物も価値を持つはずがないと信じる人々を憤らせる状況だ。パプリック・ドメインは永きにわたって新しい芸術や学問を生む知識の泉でありつづけてきた。
[...]
 この問題について真剣な国家的議論が始まるかもしれない。私はときに、人々は目先の満足以外のものはすぐに忘れ果ててしまうのではないかと憂慮する。しかしいま、この絶え間ない著作権延長の背後にある腐敗の規模を人々が認識し始めているのを感じている。そして、われわれ全員に帰属すべきものに対する更なる盗みのリスクに気付き始めていることも。

作家Cory Doctorow(@boingboing):
...私たちの共有の文化的遺産を悼んで、明日まで背景を黒の喪章に変更する。アレクサンドリア大図書館がいま再び焼かれたのだ。


知的財産権法・情報法学者白田 秀彰:「すっごく短い「エルドレッド事件」へのコメント
[...]
で、法廷意見から読み始めたんだが、なんだか誤魔化されているような文章で、腑におちない。もう一回通して読むつもり。

 法廷意見の内容が「いくらでも延長OK」というのはちょっと誇張で、実際は「そりゃ、議会の仕事だからそっちに任せるよ。なんかバカな法律だという意見があるけど、憲法違反というほどバカげているとは思えないね」というもの。でもその理由付けがなんか読んでてヘンな印象が抜けない。

 私がバカになったのかと心配しつつ、Stevens判事とBreyer判事の反対意見を読み始めたら、こっちはスッキリ頭に入ってくる。Stevens判事は、歴史的観点からの判断を示していて、英米法系のコピーライトの歴史をやった私としては馴染みのある議論の運び方でありがたい。Breyer判事は、法と経済学的観点からの判断を示していて、どうもそっち系のものの考え方をしがちな私にはとても説得力のある判断を示している。で、私の目からみて、まともな議論をしているのが反対意見ということは、私はどこに行っても少数説にならざる得ないというわけか(苦笑)。

さて、こういう愚にもつかないコメントを書いたのは[……]


ローレンス・レッシグ
敗北

 メールボックスは友人達からの気遣いに満ちたメールで一杯になった。だが中には何通か趣の異なるものもある-それをすぐに見分けるのが私の性格だ。Mayer Brown法律事務所のDavid GossettはDeclanに書いた-「レッシグが7-2でエルドレッドを負けさせた」。
 その通りだ。何といわれようと、私はこの訴訟をいつまでもそう考え続けるだろう。合憲性への問いは僅差にさえならなかった。法廷にこの論点を理解させられなかったことが私の失敗だ。

 政治運動は最高裁での敗北によって勢いを得るとはよく言われてきた。一部のフェミニストたちは、ロウ対ウェイド裁判にはむしろ負けていた方がよかったという。そうなればムーブメントが生まれていただろうと。法廷で負け、しかし敗北の中に勝利を嗅ぎとるなどということがありうるのかどうか、長い間考えてきた。まだ確信はできない。だが、もし私の失敗から何かが得られるとするならば、法廷曰く議会が有しているという無制限の力への、いま拡大しつつある怒りと憤りをそれにしようではないか。フリーソフトウェア財団、インテル、保守派の論客Phillis Schlafly、ミルトン・フリードマン、ロナルド・コース、ケネス・アロー、archive.orgのブルースター・カール、そして数多くのクリエーターとイノベータたちが皆同じ側に立って「これは間違っている」というのなら、それは間違いなのだ。これを人々を動かす契機にしよう。法廷は動こうとしないのだから。

 私はエリック・エルドレッドに、そして他の原告たちにいつまでも感謝し続ける。彼の信念をこの裁判へ向けてくれたことに。その信念に値する勝利をもたらせなかったことを、私はいつまでも悔やみ続けるだろう。

 われわれの憲法の起草者たちのしたことだけでは充分ではない。われわれはそれ以上を為さねばならないのだ。

posted on [ Jan 16 03 at 1:31 AM ] to [ eldred.cc ] [ 149 comments ]

参考:
エルドレッド対アッシュクロフト裁判原告側公式サイトeldred.cc

Ginsburg判事による多数派意見
Stevens判事の反対意見
Breyer判事の反対意見

Donna WentworthによるCopyfight、エルドレッド裁判判決についての膨大なリンク集
知的財産権法情報サイトIPWatchdog著作権を巡る最高裁判例集
slashdot.jp:米「ミッキーマウス法」は合憲


謝辞:
「囚われのミッキー」画像はGold Key版ミッキーマウス#103(1965年)を元に、 Andrew Baio氏が作成されました。
日本語フォント「みかちゃん」はみかちゃんフォントで配布されています。

リンク用画像:
左側がeldred_satire_small_1.jpg、右側がeldred_satire_small_2.jpgです。
このページのソースか画像下のHTMLをコピーしてください。

eldred satire by Andrew Baio eldred satire by Andrew Baio
<a target="_blank" href="http://ittousai.org/mt/archives/2003_05/eldred_v_ashcroft.html">

<IMG SRC="http://ittousai.org/lessig/eldred_satire_small_1.jpg">
または
<IMG SRC="http://ittousai.org/lessig/eldred_satire_small_2.jpg">

</a>
Posted on [2003/05/10 00:17]
Comments
Post a comment









Remember personal info?